男性の泌尿器科– Urology for men –

日常に寄り添う泌尿器診療

男性の泌尿器科疾患は、頻尿・残尿感・排尿困難をきたす前立腺肥大症の他、前立腺がん・膀胱がん・腎臓がんなどの悪性腫瘍、細菌感染による尿路/性器感染症など多岐に及びます。
早期治療介入が極めて重要ですので、気になる症状があるときには早めに受診することをお勧めします。

下記のような症状のある男性は、お気軽に当院までご相談ください。

排尿に関するお悩み

  • トイレが近くなった(頻尿)
  • 夜中に何度も尿意で目が覚める(夜間頻尿)
  • 尿を我慢できず、急にトイレに行きたくなる
  • 尿漏れがある、あるいは不安がある
  • 尿の出が悪い、勢いが弱い
  • 排尿に時間がかかる
  • 排尿後にも残っている感じがする(残尿感)
  • 排尿時、または排尿後に痛みがある
  • 血尿が出た(血が混じった尿が出る)
  • 尿道から膿のような分泌物が出る

陰部・精巣に関する症状

  • 精巣(睾丸)や陰嚢に痛みがある
  • 陰嚢の腫れ、左右で大きさが違う
  • 精巣が小さくなった気がする
  • 陰嚢に血管が浮き出ている(血管瘤がある)
  • 精巣や陰嚢のサイズが大きくなった

検査結果に関する不安

  • 健康診断で尿潜血・蛋白尿を指摘された
  • PSA(前立腺がんマーカー)の値が高かったと言われた

性機能に関するご相談

  • 勃起しづらい(ED)
  • 性欲が低下してきた

排尿に関するお悩みは加齢に伴って起こることもありますが、泌尿器の病気が隠れていることも少なくありません。多くの泌尿器疾患は早期に発見・治療を行うことで、症状の改善や進行の予防が可能です。
すでに排尿トラブルに対してお薬を服用していてもなかなか改善がみられない方は、ご相談をください。
特に「トイレが近い」「夜中に何度も起きる」といった症状がある場合、

  • 日中の排尿回数が1日8回以上
  • 夜間の排尿が2回以上

といった頻度が目安になります。
ただし、感じ方には個人差がありますので、「最近トイレの回数が増えた」と感じた方は、少しでも早めの受診をご検討ください

前立腺肥大症は、加齢に伴って前立腺が大きくなり、尿道を圧迫することで排尿トラブルを引き起こす病気です。特に50歳以上の男性に多く、年齢とともに発症頻度が高まります。

  • トイレが近い(頻尿)
  • 夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)
  • 尿の勢いが弱くなった
  • 尿が出にくい、出始めに時間がかかる
  • 尿が途中で途切れる
  • 尿の勢いが弱く感じることがある
  • 残尿感がある

など

前立腺は膀胱のすぐ下にあり、尿道を取り囲むように存在しています。加齢や男性ホルモンの変化などにより、前立腺が肥大すると尿道が圧迫され、排尿に支障をきたすようになります。

まずは問診にて症状、始まった時期、既往歴や服薬している薬の内容、抱えているお悩みについて丁寧に伺います。他に必要に応じて、尿検査、血液検査、超音波(エコー)検査、残尿測定検査などを行います。

超音波(エコー)検査

超音波を当てることで前立腺の大きさを確認できます。

血液検査

血液検査にて血清PSA(前立腺特異抗原)の値を測定します。この値が高い(4ng/mlを超えている)時は前立腺がんが疑われます。ただし、この値が高いからといって、必ずしも前立腺癌とは限りません。MRI検査などを行い、がんを確定診断するための前立腺生検などの検査が必要であるかどうかを判断します。

薬物療法を基本として治療を進めます。前立腺の大きさや残尿の量、頻尿や切迫感の程度などを見ながら、症状に合わせた薬剤の組み合わせを考えます。多くの場合、薬物療法にて改善しますが、難しい場合は手術を検討することがあります。手術ではレーザーを使って肥大した前立腺を切除します。

前立腺炎とは、前立腺に炎症が起きる疾患で、急性と慢性に分けられます。
若年〜中高年の男性まで幅広く見られる泌尿器疾患で、排尿時の違和感や下腹部・会陰部の痛みなどを引き起こします。

急性前立腺炎

細菌感染が原因で発症することが多く、頻尿・排尿時の痛み・排尿困難といった症状に加え、38℃以上の高熱が突然あらわれることがあります。進行すると、悪寒や筋肉痛・関節痛を伴い、尿がまったく出なくなる(尿閉)状態に陥ることもあります。

慢性前立腺炎(細菌性/非細菌性)

細菌感染が原因である場合と、原因不明(非細菌性)で慢性的な炎症や痛みが続く場合があります。排尿に関する違和感、下腹部や会陰部の鈍痛、不快感、精液に血が混じるなどが見られます。慢性前立腺炎では、前立腺周囲に痛みや不快感などが起こりますが、発熱は起こりません。

急性前立腺炎

急性前立腺炎は、尿道から前立腺に細菌が入り込むことで起こる感染症です。
大腸菌などの腸内細菌が原因となることが多く、突然の発熱や排尿時の痛み、頻尿、排尿困難などの症状が現れます。

放置すると前立腺内に膿がたまり、「前立腺膿瘍」や「敗血症」など重篤な合併症につながることもあります。発熱などの全身症状を伴う場合は、早めの受診が必要です。

慢性前立腺炎(細菌性/非細菌性)

慢性前立腺炎は、3か月以上にわたって骨盤内や下腹部の違和感・排尿トラブルが続く状態で、細菌感染が原因となるものと、細菌が検出されない非細菌性のタイプがあります。

  • 自転車やバイクなど前立腺を圧迫する動作
  • デスクワークや運転などによる長時間の座位姿勢
  • 前立腺は体の最下部にあるため、血液のうっ滞が起きやすく血流障害が慢性的な炎症を引き起こす
  • 不規則な生活・睡眠不足・ストレス
  • 飲酒・辛い食べ物・カフェインなどの刺激物の摂取
  • 免疫力の低下や運動不足による感染リスクの増大

非細菌性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)は、明確な細菌感染が見つからず、神経や筋肉の過緊張、自律神経の乱れなどが関連していると考えられています。

まずは問診にて症状、始まった時期、既往歴や服薬している薬の内容、抱えているお悩みについて丁寧に伺います。他に必要に応じて、尿検査、血液検査、超音波(エコー)検査、残尿測定検査などを行います。

急性前立腺炎の検査・診断

  • 尿検査:白血球や細菌の有無を調べ、炎症や感染の程度を確認します。
  • 血液検査:炎症反応や、必要に応じて前立腺がんの腫瘍マーカー「PSA(前立腺特異抗原)」も測定します。

慢性前立腺炎の検査・診断

  • 尿検査:白血球の有無、細菌感染の可能性をチェックします。
  • 超音波(エコー)検査:前立腺のむくみや石灰化、血流の異常(うっ血)など、慢性的な変化を確認します。

急性前立腺炎の治療

  • 抗菌薬の内服・点滴を基本とし、感染を抑える治療を行います。
  • 高熱や強い痛みなどの重症例では、入院による管理や点滴治療が必要になることもあります。
  • 場合によっては、尿がまったく出なくなる「尿閉」を起こす可能性があるため注意が必要です。
  • 必要に応じて、提携先の医療機関をご紹介し、スムーズに入院・精密検査・手術対応が可能な体制を整えています。

慢性前立腺炎の治療

  • 抗菌薬や消炎鎮痛剤の内服
  • 自律神経のバランスを整える薬の使用
  • 生活習慣(長時間座りっぱなし、ストレス、飲酒、刺激物摂取など)の見直し

急性と慢性では治療アプローチが異なりますが、いずれも早期発見と正確な診断、適切な治療が回復の鍵となります。気になる症状がある場合は、我慢せずに早めのご相談をおすすめします。

慢性前立腺炎は、症状が落ち着いた後でも再発することが少なくありません。日常生活の中で前立腺への負担を減らす工夫を取り入れることで、再発リスクを下げることができます。

長時間座りっぱなしを避ける

座り仕事や運転など、同じ姿勢が続くと血流が悪くなり、前立腺に負担がかかります。1〜2時間に1回は立ち上がって歩いたり、イスにクッションを置いて前立腺への圧迫を和らげるようにしましょう。

お風呂で体を温める

湯船にしっかり浸かって体の芯から温めると、骨盤内の血流が良くなります。入浴以外の時間も、下半身を冷やさない工夫(保温インナー・腹巻など)を意識してください。

適度な運動を習慣化する

ウォーキングやストレッチなどの軽い運動でも、血流改善やストレス軽減につながります。無理のない範囲で続けましょう。

飲酒を控える

アルコールは前立腺を刺激し、炎症やむくみの原因になることがあります。症状がある間はできる限り控えましょう。

2020年度には、前立腺がんは日本国内で最も多く診断されたがんとなりました。5年生存率は比較的高いものの、早期に発見することで前立腺を全摘せずに治療できる可能性が高まります。
そのため、50歳を過ぎたら定期的に検査を受けることをおすすめしています。

前立腺がんの検査は血液検査(PSA:前立腺特異抗原)によって行い、採血だけでスクリーニングが可能です。PSAの値に異常が見られた場合は、提携先である江戸川病院にてMRI検査や前立腺針生検を実施し、正確な診断を行います。

前立腺がんは早期には自覚症状が出にくいのが特徴です。進行に伴って次のような症状が見られることがあります

  • 尿が出にくい、排尿に時間がかかる
  • 夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)
  • 血尿
  • 骨の痛み(転移がある場合)

などこうした症状がある場合は、他の前立腺疾患(前立腺肥大症や炎症など)と混同しないように診断が必要です。

前立腺がんは明確な原因が解明されていないものの、いくつかのリスク因子が知られています。主なリスクとしては、加齢(特に60歳以上)家族歴(父や兄弟に前立腺がん患者がいる場合)高脂肪の食事男性ホルモンの影響などが挙げられます。
これらのリスク因子があるからといって必ず発症するわけではありませんが、早期発見のために定期的なPSA検査を受けることが大切です。

まずは採血によってPSA値を測定します。これは前立腺から分泌されるタンパク質で、がんだけでなく、前立腺肥大症や炎症でも数値が上がることがあります。

PSA検査(前立腺特異抗原)

血液検査によりPSA値を測定します。PSAは前立腺がんの腫瘍マーカーで、スクリーニングに有効とされています。一般的に4.0ng/mLを超えると精密検査が推奨されます。

※PSAの数値が高くても、必ずしもがんとは限らず、前立腺肥大症や炎症でも上昇するため、慎重な評価が必要です。当院では、必要に応じて江戸川病院と連携し、MRIや生検等の精密検査をご紹介しています。

前立腺がんの治療は、がんの進行度(ステージ)や患者様の年齢・体調に合わせて選択されます。以下のような主な治療法があります。

外科治療(手術療法)

前立腺がんに対する根治治療の一つであり、前立腺全体を取り除く前立腺全摘除術が基本となります。

  • 開腹手術:下腹部を切開して前立腺を摘出
  • 腹腔鏡手術:腹部に小さな穴を開けてカメラと器具を挿入して摘出
  • ロボット支援手術(ダ・ヴィンチ):精密な操作が可能で、低侵襲かつ精度の高い手術が可能

手術後は、尿失禁や性機能障害などの合併症が生じる可能性があります。そのため、身体への負担やQOL(生活の質)への影響も考慮して治療方針を決定します。

放射線治療

がん細胞に高エネルギーの放射線を照射して破壊する治療です。
手術が難しい方や、早期がんに対する選択肢としても用いられます。放射線治療でも尿道・直腸の刺激症状が出ることがあります。

内分泌療法(ホルモン療法)

前立腺がんは男性ホルモン(テストステロン)により増殖する性質があるため、ホルモンの働きを抑えることで進行を防ぐ治療です。

化学療法(抗がん剤)

ホルモン療法が効かなくなった「去勢抵抗性前立腺がん」などに対して行う治療です。抗がん剤を使ってがん細胞の増殖を抑制します。

フォーカルセラピー(局所治療)

がんが前立腺の一部に限局している場合に、病変部位のみをピンポイントで治療する方法です。

  • 正常な前立腺組織や神経を温存するため、排尿機能・性機能への影響が少ない
  • 短期入院や日帰り治療が可能な場合もあり、体への負担が少ない
  • 当院では適応と判断された患者様に対して、江戸川病院と連携して治療を実施

前立腺がんの診断後、全摘除術ではなく機能温存を重視した治療を希望される方に適しています。フォーカルセラピーにご関心のある方には、当院でカウンセリングを実施しています。

江戸川病院との連携体制

手術が必要な場合には、院長の古賀祥嗣医師が副院長を務める江戸川病院にて手術を実施します。治療後の経過観察や内分泌療法、定期検査などは、引き続き当院でフォローいたします。地域医療と高度医療をシームレスに繋ぐ体制を整え、患者様の安心と負担軽減をサポートします。

尿路感染症とは、尿の通り道(尿路)に細菌やウイルスが感染して炎症が起こる疾患の総称です。尿は腎臓で作られ、尿管、膀胱、前立腺(男性のみ)、尿道を通って体外へ排出されます。この尿の通過ルートに炎症が起こることで、さまざまな症状が現れます。

炎症場所によって尿道炎、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎などに分けられます。尿道炎や膀胱炎では排尿時の痛みや頻尿、血尿といった排尿に関係する症状が出現し、腎盂腎炎や前立腺炎、精巣上体炎では発熱や、背中の痛み、下腹部や精巣の痛みなどが出現します。

尿路感染症の主な原因は、尿道口から侵入した細菌(大腸菌が代表的)による感染です。通常、尿には殺菌作用があり、尿道の流れも細菌の侵入を防ぐ役割を果たしていますが、以下のような要因により防御機能が低下し、感染が起こりやすくなります。

  • 排尿の滞り(前立腺肥大・膀胱機能障害など)
  • 不十分な水分摂取による尿量の低下
  • 排尿を我慢する習慣
  • 性交渉(特に女性の場合)
  • 尿道にカテーテルが入っている場合
  • 尿検査(細菌・白血球の有無、炎症の程度を調べる)
  • 超音波検査(腎臓や膀胱の状態を確認)
  • 抗菌薬(内服または点滴)による治療
  • 症状が強い場合や再発を繰り返す場合は精密検査を実施

症状が軽くても放置すると腎盂腎炎に進行する可能性があります。排尿時の痛みや違和感、発熱、下腹部の痛みなどがある場合は、早めにご相談ください。

尿道炎は、尿道に炎症が起こる疾患です。主に細菌やウイルスなどの病原体が尿道に感染することで起こり、排尿時の痛みや違和感、かゆみ、分泌物などの症状が現れます。放置すると前立腺や膀胱、腎臓などにも感染が広がる可能性があるため、早期の診断と治療が重要です

  • 排尿時の痛み(灼熱感)
  • 尿道のかゆみや違和感
  • 尿道口からの分泌物(膿や粘液など)
  • 尿の濁り・残尿感
  • 発熱(進行した場合)

※女性では自覚症状が乏しいこともあります。
※男性では症状が強く出る傾向があります。

尿道炎の原因は、大きく分けて2つに分類されます。

感染性尿道炎

性交渉を介して感染する場合が多いため、性感染症の一つとして分類されることがあります

  • 淋菌(淋病): 性感染症。強い排尿痛・膿状の分泌物が特徴
  • クラミジア :性感染症。軽度の排尿痛、粘り気のある分泌物
  • その他の細菌 :大腸菌など。尿道への接触やカテーテルなどが原因になることも

非感染性尿道炎

以下のような要因によっても尿道炎が起こることがあります

  • カテーテル挿入や膀胱鏡検査などの医療処置
  • 強い洗浄剤や石鹸による刺激
  • 尿道に外的な刺激(圧迫、外傷)が加わる
  • アレルギーや免疫反応

症状や感染の可能性を踏まえ、以下の検査を行います。

  • 尿検査(白血球・細菌の有無を確認)
  • 尿道分泌物の培養検査
  • 性感染症のPCR検査(クラミジア・淋菌)
  • 必要に応じて超音波検査や血液検査

原因に応じた抗菌薬(抗生物質)による治療が基本です。

※パートナーとの同時治療が必要になることもあります。
※再発予防のため、処方された薬は指示通り最後まで服用してください

精巣上体炎(せいそうじょうたいえん)とは、精巣の裏側に位置する「精巣上体(副睾丸)」に細菌が感染して炎症を起こす病気です。
精巣上体は、精巣でつくられた精子を一時的に貯蔵し、成熟させてから射精の際に尿道へ送るための重要な通路です。この精子の通り道に細菌が侵入し、逆流するように精巣上体まで達することで発症します。

初期は軽い痛みから始まり、数時間~1日で急速に悪化することが多いため、早期の受診が重要です。

  • 陰嚢(いんのう:睾丸の袋)の片側の腫れ・強い痛み
  • 発熱(38℃以上)や寒気
  • 赤く腫れ上がる、触れると痛みを感じる
  • 排尿時の不快感、頻尿
  • 歩行困難になるほどの陰部の違和感
  • 大腸菌などの一般細菌(尿道や膀胱に存在する細菌が、排尿障害や残尿を背景に精巣上体に到達するケースです。)
  • 性感染症(STI)由来の菌(若年層では、クラミジアや淋菌といった性感染症が原因となることもあります。)
  • 前立腺肥大症などの排尿トラブルがある中高年の方(尿の逆流などをきっかけに感染が起こることがあります。)

尿検査(細菌や白血球の有無を調べる)

超音波検査(陰嚢エコー)
精巣と精巣上体の状態、血流を確認

血液検査(炎症反応や感染の広がりをチェック)

  • 軽症の場合:抗生物質の内服と安静
  • 重症の場合や高熱・強い腫れがある場合:点滴による治療が必要です
  • 陰嚢の冷却や固定で痛みの緩和を図る
  • 性感染症が原因の場合は、パートナーの治療も重要です症状が強い場合や再発を繰り返す場合は精密検査を実施

炎症によって精管が閉塞すると、精子の通り道がふさがれてしまうことがあります。これにより、精子がうまく射精されず、男性不妊の原因になることもあります。症状が改善した後も、精液検査や泌尿器科での定期的なフォローが推奨されます。

性感染症とは、主に性行為を通じて感染する病気の総称です。クラミジア感染症、淋病、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、梅毒、HIVなどが代表的で、性別や年齢に関係なく感染のリスクがあります。また、感染していても無症状のことも多く、自覚がないままパートナーに感染を広げてしまう可能性もあるため、注意が必要です。

  • 排尿時の痛み、かゆみ
  • 性器のかゆみ・ただれ・水ぶくれ
  • 発熱、下腹部の痛み
  • 陰部や肛門周囲のいぼ

クラミジア感染症

最も患者数の多い性感染症で、自覚症状がないまま進行することもあります。

  • 男性の症状:排尿痛、尿道のかゆみ、透明な分泌物、精巣の痛みや腫れ
  • 女性の症状:下腹部痛、性交痛、白っぽいおりもの、重い生理痛
  • 治療法:尿検査・PCR検査で診断後、抗菌薬(マクロライド系、フルオロキノロン系等)による治療を行います。

淋病

淋菌による感染で、進行すると不妊や炎症性疾患を引き起こすこともあります。

  • 男性の症状:排尿時の強い痛み、黄色い膿性分泌物、精巣上体炎
  • 女性の症状:自覚症状に乏しいが、おりものの増加、下腹部の違和感など
  • 治療法:抗生物質の投与。クラミジアと同時感染していることも多く、併せて治療が必要です。

性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルスの感染により、小さな水ぶくれができ、強い痛みを伴います。

  • 症状(男女共通):性器周囲の水ぶくれや潰瘍、痛み、リンパ節の腫れ、排尿痛
  • 再発:免疫力低下時に再発することがあり、治療は抗ウイルス薬を中心に行います。
  • まれな合併症:エルスバーグ症候群による排尿障害(主に女性)

尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染により、性器や肛門周囲にイボができます。

  • 症状:鶏冠状のイボが複数できることも。痛みは少ないですが再発しやすいのが特徴。
  • 治療法:塗り薬(ベセルナクリーム)や液体窒素による凍結療法。当院では症状に応じて適切な方法を選択します。

梅毒

梅毒トレポネーマによる細菌感染症。進行すると全身に症状が出ます。

  • 初期症状:性器などに硬いしこりができ、痛みは少ない
  • 進行すると:全身に赤い発疹(バラ疹)、発熱など
  • 治療法:ペニシリン系抗生物質の服用による薬物療法、塗り薬(ベセルナクリーム)や液体窒素による凍結療法。当院では症状に応じて適切な方法を選択します。

HIV感染症

HIVウイルスへの感染により、免疫力が低下し、エイズ(後天性免疫不全症候群)へと進行する可能性があります。

  • 初期は無症状が多いが、他者への感染リスクがあるため早期の検査と診断が重要です。
  • 治療法:現在は抗ウイルス薬によりHIVの増殖を抑えることが可能となっており、早期治療により長期的に健康を保つことができます。

男性更年期障害は、加齢やストレスにより男性ホルモン(テストステロン)が減少し、自律神経が乱れることでさまざまな身体的・精神的な不調が現れる疾患です。「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」とも呼ばれます。40〜50代以降の中高年に多いとされますが、近年では若年層でも発症することがあり、年齢に関わらず注意が必要です。

身体的な症状

  • のぼせ・発汗・冷え・動悸
  • 倦怠感・疲れやすさ・筋力低下
  • 頻尿・便秘・下痢・肩こり・関節痛
  • ED(勃起機能の低下)・朝立ちの減少

精神的な症状

  • イライラ・不安感・抑うつ傾向
  • やる気が出ない・集中力の低下
  • 睡眠障害(不眠または過眠)

性機能の症状

包皮がむけたまま戻らない緊急状態

  • 性欲低下
  • 勃起力の低下

これらの症状は日常生活に支障をきたすことがあり、放置すると生活習慣病(高血圧・脂質異常症・糖尿病)や心筋梗塞・脳梗塞などのリスクが高まることも知られています。

  • 男性ホルモンの減少

男性ホルモン「テストステロン」は、筋肉や骨の維持、性機能、認知機能などに関与しています。加齢とともに分泌量は減少し、それが更年期障害を引き起こします。また、睡眠不足・栄養の偏り・過度なストレスなど生活習慣の乱れもテストステロン低下の要因となります。

ホルモンバランスが崩れることで、交感神経と副交感神経の調整が乱れ、抑うつ・不眠・疲労感などの症状が現れやすくなります。

問診・AMSスコア(男性更年期の国際的な評価質問票)

採血による男性ホルモン(遊離テストステロン)値の測定

  • テストステロン補充療法(TRT):注射など。筋肉量、性機能、気分の改善が期待できます。
  • 睡眠・運動・食事などの見直し
  • ストレスマネジメント