男性不妊治療– Male Infertility –

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不妊症というと、女性に原因があると考えられがちですが、実際には不妊の原因の約半数が男性側にもあるといわれています。当院では泌尿器科専門医が、精密な検査と科学的根拠に基づいた治療を通じて、男性不妊の診断と治療を行っています。

当院では、以下のような男性の症状・お悩みに対応しています。

  • 精液所見の異常(精子数・運動率の低下など)
  • ED(勃起障害)や射精障害
  • 無精子症・乏精子症
  • 生活習慣や加齢に伴う精機能の低下
  • 精液検査・ホルモン検査を含むトータルな男性機能評価
  • 必要に応じて薬物療法・生活指導・SGF®乳歯歯髄幹細胞培養上清を用いた自費の治療のご提案
  • 豊富な臨床経験を持つ泌尿器科・再生医療専門医による診察とフォロー

夫婦生活を正常に行っているにもかかわらず、2年以上妊娠に至らない状態を不妊症と定義します。この中で、男性側に原因があるものを「男性不妊症」と呼びます。

診断は以下のように進められます。

  • 問診・身体所見(例:精巣の大きさ測定など)
  • ホルモン検査・陰嚢超音波検査・染色体検査
  • もっとも重要なのが「精液検査」です。

精液検査では、精子の有無、濃度、運動率、精液量などを評価します。数値が基準値を下回る場合、妊娠しにくい状態と考えられます。

不妊症というと、女性側の問題が注目されがちですが、実際には不妊の約40〜50%は男性にも原因があるとされています。男性不妊症の約8割は、精子をうまくつくることができない「造精機能障害」によるもので、なかでも約半数は原因不明(特発性)とされています。

  • 造精機能障害:精子の数が少ない、動きが悪い、形が異常など
  • 性機能障害:勃起できない、射精できない、膣内に射精できない
  • 精路通過障害:精子は作られていても、体外に出てこない

精巣(睾丸)の機能に異常があり、精子がうまく作れない状態をいいます。

  • 先天性:染色体異常(クラインフェルター症候群など)、Y染色体AZF領域の欠失
  • 精索静脈瘤:精巣温度の上昇により精子の生成を妨げる
  • 停留精巣・精巣炎:精巣が正常な位置にない、または炎症を起こした状態
  • がん・抗がん治療:精巣腫瘍や抗がん剤・放射線の影響
  • 下垂体疾患:ホルモン分泌の異常により精巣が刺激されず精子が作れない

精液検査
検査は完全予約制であり、クリニックでの精液採取だけでなくより、落ち着いた環境での採取のために自宅で採取して持参頂くことも可能です。(持参の場合30分~60分以内にお持ちください)自宅採取のための検体保存容器は事前にお渡しもしくは郵送(自費)でお送り致しております。検査はおおむね15分~20分で完了します。

精液検査では、精液量、精子濃度、運動率、正常形態率などを調べ、WHO(世界保健機関)の正常精液の下限基準値と比較しています。1mlの精液の中に存在する精子の数を精子濃度といい、 その中で前進運動をしている精子の濃度を前進運動精子濃度と呼び、SMI(精子運動性指数)測定に最も深く関与しています。一般的にSMI 80(以上で良好)を基準値として定めています。SMIが高いほど妊娠率が高くなります。

SMI前進運動精子濃度 (×10⁶/ml)精子濃度 (10/ml)前進運動率
下限基準値804.81532%

精子の質を向上させる睾丸注射

SGF®(乳歯歯髄幹細胞培養上清)を精巣に直接注射することで、精子の数や運動率が向上することを目指しています。さらに、勃起機能や男性機能の改善効果も期待できます。
従来のテストステロン補充療法とは異なり、人工物質ではなくヒト由来の安全な治療法であり、精巣機能の修復により解決を目指す治療です。

症例1:58歳男性

2021年2月4日:精子濃度 5.2万/ml、精子運動率指数(SMI) 0
2020年12月~2021年3月:10回の睾丸注射
2021年3月27日:精子濃度 101.3万/ml、SMI 82
2022年1月22日:精子濃度 215.3万/ml、SMI 35

精液検査の重要性

近年、少子高齢化の要因の一つとして成人男性の精子に関するデータが昔よりも弱くなっていることが色々が場面で取りざたされてきています。不妊治療時しかあまりなじみのない精液検査ですが、実は男性が身体のバロメーター(精神状態も含め)知るには非常に重要かつ有効な検査です。自身の精子の状態がどういう状態にあるかを知ることで、現在の日常生活が正しいサイクルかどうかを知る目安になると考えています。
改善すべきは、食生活を中心とした生活習慣そのものです。基本的には食事、睡眠、運動という重要な3つの要素を適正に行うということですが、長年の悪習慣によって精子を作る精巣機能が衰えている場合があります。精巣機能が衰えたものを改善するのに明確な治療法は現在の保健医療ではありません。多くは亜鉛などの栄養指導により状態の改善を見るといったものとなります。
当クリニックでは、精巣機能そのものをSGF®(乳歯歯髄幹細胞培養上清)を用いて修復すること目的としています。

精液検査の結果が思わしくなかった場合

上述したように、男性の精液性状にはそのときどきで変化がありますので、一度目の検査で悪い結果が出た場合でも、再検査をして問題ないとされることも珍しくありません。ガイドラインでは3カ月以内に少なくとも2回検査を行うことが推奨されており、当院でも所見が思わしくなかった場合は再検査をお勧めしています。 精液の性状は生活習慣によっても左右されます。例えば、喫煙習慣や過度の肥満は精液所見を悪化させるリスクファクターであることが分かっています。精子を改善するための注意点を以下にまとめました。

精子を改善するためにすべきこと

その他、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンC、亜鉛、葉酸等いくつかの栄養素は精子所見を改善させるとの報告があります。バランスのよい食事を心がけましょう。

圧迫しない

長時間の座り姿勢は精巣を圧迫します。デスクワークや、車・自転車の運転時には1時間に1回程度は立って血行を改善しましょう。

温めない

精子は高温が苦手です。長風呂や長時間のサウナは避けましょう。下着はブリーフより風通しのいいトランクスがおすすめです。ノートパソコンを膝に乗せて長時間作業するのも避けましょう。

タバコを吸わない

喫煙は精子の状態を悪化させることがわかっています。

太りすぎない

過度の肥満も精子を悪化させるリスクファクターであると報告されています。

禁欲しすぎない

精巣に古い精子が残っていると、新しくできた精子も酸化させ運動率が悪くなると言われています。禁欲期間は3〜4日に留めましょう。

定期的に運動する

骨盤内の血流を良くするために継続的に運動しましょう。ウォーキングや軽いジョギング、ヨガ、ストレッチなどがおすすめです。

特許技術

SGF®(乳歯歯髄幹細胞培養上清)を用いた精巣機能改善剤に関する特許技術(特許第6830286号)を取得しています。

当院では、SGF®乳歯歯髄幹細胞培養上清を用いた精巣への局所注射治療を行っています(自費)。注射は精巣に行いますが、超極細の針を使用するため、痛みはほとんどありません施術時間も短く、体への負担は最小限です。

  • 精巣細胞の修復促進
  • 精子の活性化・増加
  • テストステロンの分泌促進
  • SMI(精子運動性指数)の改善
  • 生活習慣病の予防効果も期待

不妊に悩む男性の方、他院で検査を受けたけれど改善が見られない方も、ぜひ一度当院にご相談ください。

再生医療・泌尿器がんを専門とする医師が、科学的根拠に基づいた診断と治療をご提供し、妊娠に向けて最適な治療法をご提案いたします。

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